前回に引き続き、高齢の患者さんのお話です。
問診の重要性を再確認させられた体験です。
昨日の朝に、「ぎっくり腰です、診て欲しい。」と予約電話が入りました。
この時期にぎっくり腰か。どこかに問題がありそうだな・・・。
などと想像しながら、いたのですが、
タクシーで来院されたのは、94歳の女性でした。
腰を丸めて痛そうにゆっくり歩いて入室されました。
問診を始めると、まず開口一番に、
「毎日とても忙しいのです。」と話が始まりました。
独身の息子さんと二人暮らしだが、家事一切を患者さんご本人がこなしているという。
大変な想いを抱いているんだと、気持ちに寄り添いながら腰痛について質問を始まめました。
問診のOPQRST(問診のお作法)に従って聞いていくと、
結論は慢性腰痛が酷くなったものです。
(自分で診断を付けて来院される方は、しばしば間違っていることがあります。)
体動時の発痛様式や部位、圧痛の位置を確認して、
L4/L5間の椎間関節が痛みを出していると判断しました。
鍼通電治療と超音波治療により、来院時の主訴であった痛みは軽減して、
背中もしっかり伸ばすことができるし、歩行もスムースになりました。
ところが、他の体動をしてもらうと、全く違う場所が痛いと言います。
今度のは神経症状です。
更に問診をすると、数年前に脊柱管狭窄症の診断をされていると初めて分かりました。
予定時間が終わり、今回の治療は、ここまでにしてまた来週来院していただくことにしました。
主訴となる痛みが除去されたのに、「なかなか良くならない。」と訴える患者さんがいます。
ご本人的には、治療者に伝えていない箇所の痛みまでは改善していないので、
ということらしいです。
こんな時は、かなり上手く問診をして探りださないと、
隠された問題を確認できないという現実に打ちのめされます。