多くの方が体調の不良や痛みなどの苦痛から、鍼灸治療を希望してSSKCに来院されます。
ほとんどの場合、十分な問診と理学的検査や東洋医学的検査から導き出した治療方針とプログラムで、
身体や症状に何らかの改善の反応が見られます。
好転したのであれば、その方針やプログラムは的を射ていると判断し、
そのまま継続したり、あるは状況の変化に合わせて少しずつ変更を加えます。
ところが時として、次の来院時に「全く症状が変わらなかった。」と言われる場合もあります。
それは、方針またはプログラムが間違っているかも知れないと判断します。
この場合は、もう一度問診や検査をやり直すか、選択肢として違うプログラムを試みます。
さて、ここからが今回のテーマです。
患者さんの中には、何度治療プログラムの変更を試みても、
「全く症状が変わらなかった。」あるいは、「良くも悪くもなっていない。」という患者さんがいます。
治療者としては少なからずショックですが、再び考え直す作業をします。
この様に即効的に好転を見られない患者さんの多くは、
病院にも受診して血液検査・CT・MRI・心電図などの検査を受けたのに特に問題ないと言われた、
経験を持つ方です。
病院では、いわゆる「不定愁訴」を訴える患者。という判断をされることになります。
※もちろん、徐々に進行するパーキンソン病や慢性関節リューマチなどの大きな病気の診断がまだ付かない段階の方も
いることには注意が必要です。
患者さんにしてみれば、自分を苦しめてている症状の原因が欲しいわけで、
「不定愁訴」として
「心配いりません。」
「原因不明です。」
「ストレスでしょう。」
「少し休みなさい。」
とか言われても、納得がいかない場合が多いのです。
処方されている薬も、その場しのぎの物で、問題を解決できるとは思えません。
このような方が、ドクターショッピングの一環として、鍼灸院に来院されることがあるのです。
症状には、必ず原因があるわけで、今のところはっきり判断できていない場合と、
治療者が、原因として挙げた判断に納得のいかない場合があります。
後者の方は、薬にしても鍼灸治療にしても、治療の即効性を強く求める方が多いです。
焦る気持ちや不安を抱えながらも、治療の効果を感じるまでには時間がかかるのだ、
ということを理解できた場合は、焦らずじっくりと協力しながら取り組みます。
しかし、焦る気持ちや不安を抑えきれない場合は、
怪しいインターネット情報に踊らされて治療を中断してしまうこともあります。
直ぐにでも100%の安心を欲してしまう弱った心が、逆に治癒を阻止するように感じます。